SCG Player of the Year、Alex Bertonciniの不正行為についての情報の公開

by Drew Levin (@drew_levin)

原文:http://mixedknuts.wordpress.com/2011/12/12/unlocking-the-cheats-of-scg-player-of-the-year-alex-bertoncini/

transrated by Keiichi Kawazoe (@_____zoe_____)


 
[編集部注:私はこのブログを、MtGの主流なサイトにはふさわしくないような話題を扱う場として始めました。私自身も長い事、サマ師を捕まえその行為について書いてきました。ここでDrewが明らかにすることは論議を呼ぶでしょうが、それは提示された証拠を損なうものではありません。そして、もしAlex自身が自分の立場からの真実を伝えたいのであれば、私はそれをここに公開し、広告することを約束します。]

   こんなジョークがあります。
 
  それは、GPの土曜日の夜(訳注:ジャッジディナー)。人々はテーブルを囲み、夕食を食べながら色々な話をしています。
  そして、ふとAlex Bertonciniの事が話題に上ります。
  
   「そういえば、ヤツのサマの事を知ってるかい?」
  
   「ああ、知ってるぜ」
   「奇遇だな、俺も知ってる。」
 
   そして一人がふと、最初の一人を指さして「ちょっと待って、それは何の話?」と問います。
  彼らはその話を聞き、眉を顰めます。そして、2人目が「うーむ、僕が聞いた話とは違うようだ…」と言いました。
  また、彼らは話を進めていきます…
  
   Alexのイカサマ話は、6人それぞれ違うものだったのです。

私がAlex Bertonciniに出会ったのは3年前のことでした。当時、私自身はプレイも稚拙で、デッキ構築について何も知らないような シロウトで、トーナメントシーンがなんたるかもろくに知りませんでした。Alexは年初にフェアリーでリアル・トーナメントで初めての 成功を収めた程度の、比較的新しく競技マジックに登場したプレイヤーでした。私は当時カバレッジの愛読者だったため、 彼の名前を知ったのです。名声ある18歳と―いえ、雲の上とも言うべき彼と、友達になりたいと思いました。

その後の1~2年で、私はAlexと知り合うことになります。私が彼の家に泊まったり、彼が私の家に泊まったり、お互いを大会会場へと 送ったり、ルームシェアしたり、デッキを一緒に練ったり、人生についたり話したり。私は彼のことを親友と思っていました。

この記事を理解して頂くためには、私が彼について不偏ではなく、客観的でもないということをわかってもらわわなければなりません。 私の行動は様々な感情に左右されており、それが良く働いたこともあればそうでなかったこともあります。ですが、私が彼を一度深く 信じたにもかかわらず、彼が私たちを結びつけたゲームにおいて不正を働いたと確信した故にその信用を捨てたことを理解してください。

また、この記事は公開処刑を企図しているものではありません。DCIのみが出場停止処分を出すことができ、またジャッジのみが 失格処分を出すことができるのです。DCIの人間でも、高レベルジャッジでもない一プレイヤーですから、私はDCIやジャッジより多くの 情報を持っていますがそれによってできることは殆どありません。ここ数ヶ月細心の注意を払って収集した情報を、コミュニティに 渡すことが最善だと思い、この記事を書いています。DCIのみが出場停止を出し、ジャッジのみが失格を出しますが、果たして誰が 最初にジャッジを呼ぶのでしょうか?誰がイカサマを見つけるのでしょう?そして、イカサマを見つけた人にはモラルやコミュニティに 照らして、どんな義務があるのでしょう?

そして、私はただ情報をバラ撒くために記事を書いているつもりもありません。負けそうになった時、余計にカードを引いたり土地を 置いたりしたくなる、全ての人にメッセージを送りたいのです。彼らには、そうした不誠実なプレイヤーを暴こうとするコミュニティが 存在すると言うことを知ってもらいたいのです。また、マジックのコミュニティに、イカサマ師にとっての避難所に見えるような振る舞いを して欲しくありません。そして、コミュニティにサマ師を弁護してほしくもありません。その行為は、不誠実なプレイヤーを新たに 生み出してしまいかねないのです。この記事はAlexの不正に関する長い話になりますが、同時に彼の不正を模倣して成功に至ろうと考える 全ての人に対する警告でもあります。イカサマ師はマジックで歓迎されることはなく、そしてそれを暴くために多くの反動を切り抜ける人さえも 存在するのです。

私は良くも悪くも、SCGオープンサーキットのために多くの週末を費やしてきました。私はSCGサーキットの一つの顔になり、また 「研ぎ師」の一人にもなりました。私はStarcitygames.comで記事を書き始め、人気を博していました。私はこのコミュニティに 頭から飛び込み、読む価値のある物語を提供しようとしています。

それは、SCG Player of the Yearとして今週末シャルロットで勝つまでも"やらかした"、Alex Bertonciniが如何に常習的な イカサマ師であるのか、という話です。

事情を正しく把握するために、まずは時を遡って正しい順序で語るとしましょう。

【イカサマ蒔き】

私の立場からみた物語は、2010年の6月に端を発します。彼が青単マーフォークを手にセントルイスへと向かうとき、私は翌月のために ガールフレンドの元へと車を走らせていました。電話で彼に幸運を祈りました。カバレッジで彼が2位に終わった事を知り、「残念だったな」と 見舞い、その後自分がGPコロンブスで使うデッキの準備に入りました。

その後数週間にわたり、ネット上では「Alexが3ラウンド目でサマをやったらしい」という噂が流れました。ですが、私はその情報を全く 信じていなかったため、事実を確認することはありませんでした。何時間も何時間ものつきあいがあり善人だと知っているのに、 彼が不正を働いたなんて腹立たしい情報の真偽をわざわざ確かめるでしょうか?私は彼がサマ師でないと確信するに充分足るほど、 彼のプレイを見てきたのです。救いようの無いことに、当時私は彼は無実であって、アンチ共はクソ喰らえ、と思っていました。

既に知るところとなったように、AlexはAndy Hansonとのフィーチャーマッチで不正を働きました。そうそう、この記事ですね。1ゲーム目のハイライトを引用すると、
次の禁止改訂で《神秘の指導者》を失う前にリアニメイトを選択したAndy Hansonは《思考囲い》を見せ、Alexに《目くらまし》を捨てさせた。 2ターン目、《銀エラの達人》はAlexに2ターン目の相手のコンボに有効な《対抗呪文》ではなく《誘惑蒔き》を引かせた。 ターンが返って、Andyはアップキープに《納墓》を唱え、《白金の天使》を探して墓地に置いた。Alexはその4/4が普通のリアニメイトには 見られないことに言及した。

  (中略)

しばらく後、ついにAlexに選択の余地は無くなった。《誘惑蒔き》の引き金を《白金の天使》に向かって引くか、7/11のリバイアサンに 殺されるかの2択だったからだ。彼は島1つを残して4マナを倒し、2/2を戦場に出した。Andyは《目くらまし》を追放して《Force of Will》を 唱えようとしたが、Alexはそのプレイが大丈夫かどうかジャッジに尋ねた。
「ライフが-16の時に1点のライフを支払えたっけ?」
ジャッジが「不可能だ」と答えると、Hansonは投了した。
これだけなら問題はなさそうです―Alexは《白金の天使》を《誘惑蒔き》で奪って殺した、非常にシンプルです。

そう、その日Alexのメインデッキに《誘惑蒔き》が入っていなかったということを除けば。

《誘惑蒔き》はサイドボードに2枚だけだ。

もしかすると、単なるミスかも知れません。可能性は…、ですが、Alexは自分のデッキの中身を忘れるようなプレイヤーではありません。 デッキリストの内容を忘れていた可能性はまずありえないのです。彼はたった3時間前にそのデッキの内容を登録したのですから。 これはロケット科学ではないので、2つの不愉快な可能性があります。

 1.彼は前のラウンドのサイドボードで《誘惑蒔き》を使用したまま戻し忘れた(他のサイドボードも戻し忘れたが、たまたま引かなかった)
   又は、
 2.事前サイドボードとして、意図的に《誘惑蒔き》をデッキに入れた

前者だったとして、彼が《誘惑蒔き》を実際に引いてしまったとき、彼に突きつけられる倫理的なジレンマについて考えなければなりません。 ジャッジを呼んで自分自身にゲームロスを出してもらうのか、それともこのゲームを盗んでしまうか?ということでしょう。きっと。

または、ラウンドの開始前に《白金の天使》の存在を知ることができたという幸運に感謝しながら2枚のカードを入れたのでしょうか。 どんなデッキリストを登録したか覚えていない、と否認権を発揮してしまえるなら、人生はより楽なモノになるでしょう。

なんにせよ、私はAlexの主張を信用しました。

そう、もう一度書きます。

私はAlexの主張を信用したのです。その時の私は、(非常に馬鹿な)自己陶酔的なパラダイムに陥っていて、次のように考えました:   ・私は性格的に完璧なジャッジである
  ・彼は私の友人で、私の友人に悪人は居ないから彼は善人である
  ・彼が善人で、私は彼を好きだから彼はサマ師ではないだろう。サマ師は悪人であって、子犬を見るや蹴飛ばすような習性から容易に区別でき、    人当たりのいい人ではあり得ない。
  ・イカサマというのは人格に依拠しているはずで、私は彼を信頼している以上サマ師ではあり得ない。
  ・私はサマ師を捕まえる方法を知っており、もし彼がイカサマを働いているなら私はそれを見抜いているはずだ

これらのそれぞれの対偶を考えれば、実際に何が起こっていたのかについていいアイディアを得られると思います。まあなんにせよ、 私はクリスマスや新年まで彼と一緒に過ごし、2010年通して彼の親友で居続けました。

【大いなるサマ紡ぎ】

2011年まで時を進めましょう。私はSCGオープンサーキットに多くの時間を費やすことに決めたので、結果Alexと行動をともにすることが多くなりました。 彼や数人のプレイヤーは2月にDCで開催されたSCGオープンのために私の家に滞在しました。サンノゼで発覚した事態について知ることもなく、 Alexのラウンド7のフィーチャーマッチの事は長い事関知の外にありました。

綺羅問題の動画を見たのは夏の終わりのことでした。ちょうど、お互いの機嫌が悪かった頃です。数々のプレイヤーの「Alexは常習的なサマ師だ」という 主張について調べていたとき、ある友人が「《呪われた巻物》と綺羅のイカサマを知ってるかい?」と尋ねてきました。 私は当時知らなかったので、「すまないが、ビデオを送ってくれないか」と頼みました。そう、それは1月にサンノゼで行われたレガシーオープンの 第7ラウンドの事でした。

 動画はこちらの、Round7の32分前後に事は起きています。

Vidianto Wijayaは青白の相殺デッキを使用しており、神ジェイスや《呪われた巻物》、そして大量のカウンター呪文が入っています。 彼は除去をプレイしていませんが、Alexのマーフォークに対しては《呪われた巻物》が《渋面の溶岩使い》のように働いていました。 Alexは《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》をその状況への解決策としてプレイし、その間に空から2点のクロックを刻み始めました。

Alexの土地は3枚で詰まっていて、お陰で手が止まっていました。一方Vidiantoは《師範の占い独楽》《精神を刻む者、ジェイス》《呪われた巻物》と展開していて、 綺羅の盾をジェイスの-1で剥がした後で《呪われた巻物》で改めて撃墜しようとしました。

この試合はGavin Verhey、Brian Kibler、Patrick Chapinが実況解説しています。Vidiantoは6枚の土地と2つカウンターの乗った神ジェイス、 巻物と独楽をコントロールし、手札には《ヴェンディリオン三人衆》と《呪文嵌め》を持っていました。Vidiantoのターンに入り、彼は土地を引いてそのままセットし、 ジェイスの-1能力で綺羅の誘発型能力を誘発させます。そして《ヴェンディリオン三人衆》を出してAlexの手札が《珊瑚兜の司令官》2枚と《アトランティスの王》、 《メロウの騎兵》であることを確認したうえで《呪われた巻物》で《呪文嵌め》と指定して綺羅を殺し、ターンを終了します。整理すると、

Vidianto:ジェイス(忠誠1)、7枚の土地、独楽、巻物が戦場にあり、手札は《呪文嵌め》1枚。

Alex:島2枚と《変わり谷》をコントロールし、灰色熊3枚と灰色オーガ1枚(訳注:マナコストとP/T参照)

ここでAlexは2枚目の綺羅を引き込み、それをプレイしてターンを返します。ここから面白くなってきます。
Vidiantoは《渦巻く知識》を引いてすぐ唱え、土地2枚と神を引きます。彼は《呪文嵌め》と土地1枚を戻し、手札を8枚目の土地と後続のジェイスとしました。 我々は今知っていますが、Vidiantoが引いた3枚目のカードが神ジェイスだと知らないAlexの立場から次のような動きを考えてみてください。 Vidiantoは8枚目の土地を置き、ジェイスの上からサイコロを取り除いて綺羅を指さして、「綺羅に《送還》してジェイスは死んで、能力は打ち消されます」と 言いました。そして、彼が《呪われた巻物》を起動して手札にあるジェイスを表返すと、綺羅は…

ちょっと待って、今のを見ましたか?普通に考えて、綺羅が墓地の方へと動いているのを見れば、それが実際に墓地に置かれるのを自分の目で確認しなくとも 「そいつは墓地に置かれた筈だ」と信じるでしょう。  もう一回、Vidiantoがジェイスを見せている所ではなくAlexの手元を見てみましょう。Alexは綺羅を墓地の方へと動かしています…その直後、それを墓地ではなく 手札の方へと戻して裏返して手札に入れ、勝つ為の最後のチャンスをつなぎ止めようとしています。

この驚くべきイカサマを詳しく書いてみましょう。ゲームの当初、Alexは各カードが見えるように墓地を広げて置いています。ですがこのイカサマの後、 彼はそれを一山にしてしまい、一番上に綺羅が見えるだけの状態にしてしまいます。何枚の綺羅があるかはわからず、ただ「綺羅が墓地にある」ということしか わからない状態です。

そして、それによって3人の解説者の誰もがこのイカサマに気づけませんでした。実際、Gavin Verheyが「あれ、3枚目の綺羅?確か彼は2枚だけだったよな?」と 疑問を覚えた以外、何かおかしな事になっていることに気づかれていません。
ですが、Chapinは笑い続けており、GavinもすぐにAlexの今の手札からの解決策はあるのか、という議論に戻ってしまいました。疑問は忘れ去られました。 結局、VidiantoはAlexを圧倒し、数ターン後にはゲームに勝利しました。

これは、私の目が完全に、そしてもう戻ることのないかたちで覚めた瞬間でした。私はこの2分間を、何十回も見返したことでしょう。 彼のイカサマの詳細を解剖し、墓地の置き方の変更や手札のシャッフル、また対戦相手に「綺羅は墓地に置かれた」と思い込ませる動きなどを暴き出しました。 最終的に、彼がイカサマを働いて、負けたということを確信したのです。

私はこの動画を見た後で掲示板を覗いてみました。私は皆にAlexのイカサマについて知っていることは無いかと尋ね始めました。結果いくつかの話を知り、 彼を糾弾する記事を書こうと考えました。そして、Podcastでは彼が昨年犯したイカサマがどれだけ重大なものだったのかを話しました。

その後、少し私は落ち着きました。「それはサマ師を捕まえるどころか、利することになりはしないだろうか」と考えたのです。もしかつての友人と 敵対する上でルール機関を利用すること(訳注:DCIの処分を待つこと)を考えるなら、少し待った方がいいはずだ、と。

そのため、私は一度立ち止まりました。私自身の動機や持っているデータ、友人、仮説など全てを自問自答しました。記事の執筆は延期です。 GPピッツバーグで会う全ての賢い人達に何をすべきか相談し、助言を得ました。結果、次の3つの方針を決めました。

 ・私がこれを公の場で議論/発信してしまったことで台無しになった分もあります。それを続ければ、より悪いことになるでしょう。
  あくまでもこれは彼のイカサマを終わらせるためであって、魔女狩りであってはなりません。
 ・公共の場で言うかわりに、DCIへ(具体的にはheldon Meneryに)話をする
 ・相談した誰もがAlexをサマ師と考えてもいなかったので、その事実を証明する


私は彼らの助言を胸に、更に強力な証拠を探し始めました。集めたエピソードを共有しても良いのですが、確かな証拠は言葉よりも遙かに雄弁です。

【超探検】

幸いにして私にはTwitterという心強い武器があり、そしてMatt Pratserは私にとって極めて有用な動画を持っていました。彼はそれが今年初めの カンザスシティでの動画だと教えてくれました。

またしても、最初私はイカサマに気づくことができませんでした。私は一度それを閉じて、メールで「これは何の冗談だい?イカサマなんてなくて、 ただ探検をプレイして数え間違えただけじゃないか」と書きかけました。

そこで、もう一回動画を見返してAlexが《花盛りの夏》のようにプレイしていたことに気づいたのです。

ドロー、土地4つ目セット、《探検》、土地5つ目セット、《定業》で2枚下に送ってドロー、墓地にある《探検》を数え、 このターン3枚目―通算6枚目―の土地をセットしてすぐターン終了。

ここで対戦相手から「何ターン目?」と聞かれたとき、彼は「《探検》2つだね」とごまかしたのです。

彼がイカサマにかける情熱は大変なものです。対戦相手の「ゲームが正常に進行しているのか」という正当な懸念に正しく取り合うこともせず、一方で はねつけるようなこともしていません。結局、対戦相手は最後までAlexのイカサマに気づくことができませんでした。

これは、私が8月下旬にSheldon Meneryに送った3つめの証言でした。噂話や証拠を収集し、調査の進展のためにDCIの調査委員会に送りました。 Alexの振る舞いについての記事を書くように様々な人から求められていましたが、私はDCIがその調査を完遂できるようにしたかったので 数ヶ月待つことにしたのです。

AlexがSCGインビテーショナルでプレイすることがほぼ確実になって以降、私はSheldonに送ったものを可能な限り多くの人にも伝える必要があると 考えるようになりました。最終的に、Alexがイカサマを働くなんて思いもしない人々を、彼は騙そうとするだろうと考えたのです。 この記事を、インビテーショナルに間に合うようにTed(訳注:掲載サイトの編集者)に送ることはできませんでしたが、代わりにSheldonに送った内容を 1日半で300もの人に送りました。「もう1週間早く動いていれば」という後悔はありますが、一方で良くなるはずだった記事を中途半端で不明確な記事として 公開してしまうよりは良かったと考えています。

もしかすると、皆さんはまだAlexの過ちに納得していないかもしれません。「Drew、人は間違いを犯すものだ。Alexは自分が不器用な馬鹿で、ずさんだけども 悪意はないんだと言っていたし、私は彼を信じている。あなたが明らかにした事は、今まで他の多くの人が犯した間違いをAlexも犯したということに過ぎない。 私には、これが悪意に基づくものとは思えない。また、DCIが本当に酷いものを見たなら、既に彼をトーナメントから閉め出していたはずです。」と。

【用心の言葉】

この証拠の山に、私は自分自身の体験を加えます。SCGナッシュビルのことでした。私とAlexは、SCGナッシュビルとダラスの間、アラバマ州タスカルーサにある Adam Caiの家に厄介になって調整をしようという話をしていました。

それは6ラウンド目、私がUBGの所謂チームアメリカを、Alexが青単マーフォークを使用していたときのことです。彼にとって少し有利なマッチアップですが、 私が多くの脅威を引き当てる前に私を倒さなければなりません。彼のターン、彼は《霊気の薬瓶》を起動して《メロウの騎兵》を出すと、そのまま 彼のクリーチャーを両手で一気に横に倒してきたのです。

「ちょっと待って、まだ《霊気の薬瓶》で《メロウの騎兵》を出そうとしてるだけだろ?」と私は彼を止めました。

「ああすまん、そうだ」

私が手を挙げて「ジャッジー!」と呼んだところ、彼は「おい待ってくれ、謝ったじゃないか。別にジャッジが出てこなくても、俺らで解決できるじゃないか?」と 言い出しました。

私はこの件にしっかり腰を据えて向き合わなければなりません。彼は一体どれだけの人に今のようなことを言ったのでしょう?何人の人が、友人のずさんなプレイを 咎めるためにジャッジを呼ぶという恥を避けてしまったでしょうか?それは警告―そう、ゲームロスではなく警告ですが、二度とそれをしてはなりません。

ジャッジが来たので、私は状況を説明しました。Alexも私の説明に同意しましたが、その直後彼が「警告を注意に格下げしてくれないか」といった瞬間は 今でも私の記憶に強く残っています。これは、敢えて言及するほど大きな事ではなく見えるかも知れませんが、逆に今まであなたの対戦相手で警告を注意に 格下げするよう頼んだ人がどれだけいたでしょうか?警告が注意に格下げされることを望むようなプレイヤーというのは、どういうタイプの人でしょうか。 恐らく、我々はもっと基本的なところから考え直してみる必要があるでしょう。警告と注意の違いはなんでしたか?

注意はDCIのデータベースに記録されませんが、警告は記録されます。同一のトーナメントで警告が一定以上累積すると、ゲームロスに格上げされます。 また、もし同種の違反で警告やゲームロスを積み重ねてしまうと、イカサマの可能性を疑われて調査の対象となります。つまり、多くの警告を注意に格下げして もらっているなら、それはDCIが同種の違反の累積に気づくことを防いでいるということになります。

警告を注意に格下げしてくれ、と要求するタイプの人についてもう一度考えてみましょう。私はそれを要求したことはありませんし、要求することも絶対にありません。 そして、Alexを除き私の知る全ての人もしていないはずです。何故でしょうか?私や私の友人はイカサマをしませんから、警告がそう累積することはありません。 一方、Alexが企むことは往々にして多くの警告を得る事になるため、結果彼は習慣的に格下げを要求するのです。格下げの要求は彼にとってリスクも機会費用もなく、 小さな不正利得を時として得る事になるのです。

彼がこのように多様なイカサマをやって成功している理由のひとつには、彼が非常にフレンドリーだということがあるでしょう。過去の日々において、 私は彼について似たような評判を多く聞いていました。曰く、
「彼はホントにいいヤツだ。会って数ゲームプレイしたけど、イカしてるし、イカサマなんてしてないさ。彼がサマ師だなんてわけがあるもんか!」と。

私はこういう人達を理解できません。彼らは「一緒に呑んだから」という理由だけでどうしようもない候補者に投票する人と同じなのです。彼らは議論の焦点が 何であるかを理解できていないため、彼が誠実にマジックをプレイしうるかという本題と、彼がカリスマ的な人物かどうかという問題を混同するのです。 というよりも、私はただ混同しているだけであって欲しいと思います。そうでなければ、彼らは「親切な人はサマ師ではない」と誤解していることになりますから。

読者の中に、サマ師かいいヤツかはどちらか片方しかあり得ないと信じている人がいるなら、「それは間違いだ」という悪い知らせをお伝えしなければなりません。 悪い奴の全てがSnidely Whiplash(訳注:コメディー映画『ダドリーの. 大冒険』に登場する悪役)のような外見をし、言動をしている訳ではないのです。 Mike Long(訳注:http://mtgwiki.com/wiki/Michel_Long)はきっといいヤツだったに違いありません。でもそれは、彼が自分や対戦相手のデッキを積み込んだり ダブルドローしたりというイカサマをしなかった、なんてことを意味してはいないのです。むしろ、イカサマ師にとって嫌われたり警戒されたりすることは まったくプラスではありません。そうなってしまえば、「単なるミス」と信じてもらえないどころか誰かが弁護してくれることもないでしょうし、 むしろ積極的に「ヤツはサマ師だ」と糾弾されるようなことにもなるでしょう。

Alexはチームドラフトの支払いを拒むような人でもなく、人の物を盗みそうな人でもないですから、確かにことゲームに限ってだけイカサマで盗っていくなんて 信じがたいことではあります。しかし、ここ数ヶ月で集めた綺羅や探検の動画や誘惑蒔きのカバレッジのような証拠、そして数多くの証言があるのです。 情報を提供してくれた人の一部は匿名にして欲しいとのことでしたから、その詳細を語ることはしませんが、聞いた話は他にも次のようなものがあります。 (そして、この他にも余罪はあるのでしょう)

 ・開始時の手札を8枚引いた
 ・《思案》でマリガンするかのごとく余計なカードを引いた
 ・正しいマナが払えないまま呪文を唱えた
 ・不利なマッチアップが始まる前に事前サイドボードをしていた
 ・対戦相手が森をコントロールしていないのに《水没》を代替で唱えた
 ・島と薬瓶だけが非Foilになっているマーフォークデッキを使っていた
 ・神ジェイスの0能力で2枚のカードを戻さなかった


マジックのコミュニティに溢れるAlexのイカサマに関する噂を全て収集することができるわけもないですが、それでも今まで集めた証拠を根拠に 彼がイカサマ師であると確信しています。彼が悪意をもって行ったと確信しうる動画は他にもあります。例えば数ヶ月前、コミュニティが既のAlexの《渦巻く知識》が 《Ancestral Recall》になっているのではないかと疑い始めた頃行われたSCGアトランタの第6ラウンド、Alex Smithとの試合の7分あたりで、彼は《渦巻く知識》で 4枚のカードを引いています。

もちろん、Alexがただ単に杜撰なプレイヤーなだけである可能性もあります。私も、「彼が長い事世間の目のある中でマジックをしている中で、彼自身が 有利にならないミスをしたという話だけは一度も聞いていない」という事さえなければそれを信じていたでしょう。普通、杜撰なプレイヤーというものは 割と少なくない頻度で自分の不利になるミスをするものです―例えばLSVが「土地置いてエンド…じゃない、《定業》してもう1枚土地置いてエンド」って やったような話です。ですが、私はAlexが自分の有利にならないミスをしたことは見たことがないのです。もし彼の杜撰なプレイが見過ごされたとしても、 彼が有利を得ないような状況だったならば、「Alexは単に杜撰なだけのプレイヤーだ」という主張には説得力があったでしょう。  そして最後に、Magicの古い学校からのちょっとした金言として、

「過去の例に照らして見るに、『誰かがサマ師だ』という噂と、具体的な『ヘンな状況』が大量にあったとしたら、ソイツは百万%"クロ"だ」
 というものもあります。

この記事は、Alex Bretonciniを磔架しようというものではありません。私は、彼がサマ師だと知ったときからやりたかった通り、単純に彼がイカサマを 積み重ねるのを止めるか、サマを捕まえて追放するかのどちらかにしたかったのです。そしてどちらにせよ、私はサマ師をマジック界から追放し、 二度と戻ってくることがないようにしてほしいのです。身ぎれいなプレイヤーが彼の席を埋められるなら、そうあるべきです。また、彼の席を空席のままにすることも 考えられるでしょう。どちらにせよ、マジック界にサマ師が座る席はありません。


訳者追記:Alex Bretonciniはこの記事の数日後、DCIから出場停止処分を受けています。

以下は http://www.starcitygames.com/magic/standard/23275_Statement_Regarding_the_Suspension_of_Alex_Bertoncini.html に掲載された、この件に関するSCGの声明文の抄訳です。

DCIは本日、Alex Bretonciniに18ヶ月間の出場停止処分を課すと発表しました。Star City Gamesのポリシーにあるとおり、Alexは出場停止期間中 StarCityGames.comで行われる全てのトーナメントに出場することができません。またそれに加え、StarCityGames Player's Clubのレベルと それに付随する全ての便益も、出場停止期間中に受けることはできません。彼がDCI認定イベントに出場可能な間に受賞した賞品に関しては、 既に授与されており取り消されることはありません。

我々はDCIが全てのトーナメントに対し完全性・公平性を確保しようとしていること、並びに全ての違反について公正かつ公平な処断をしていることを 評価し、尊重しています。


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